翻訳できないもにょ
本書では、直接的な翻訳が出来ない、ある言語圏や文化圏特有の事物や現象、感覚を表す言葉を、一般的な説明に加えて、詩的な短い随想と簡素ながら表現豊かなイラストを添えて紹介している。
例えば、ギリシャ語の「メラキ」という言葉は、「料理など、なにかに自分の魂と愛情を、めいっぱい注いでいる。」(本文より)という意味の形容詞。日本でよく言う、料理は愛情、という慣用句が、単語に集約されている。
日本語からも、「ボケッと」「木漏れ日」「積ん読」といった言葉がエントリーされている。
言葉にあまりこだわりや関心のない私みたいなぼんくらでも、カラフルなイラストや簡潔な説明のおかげで、言語学の妙の一端に触れられるイラストエッセイだ。
言葉にできてもその実態が掴めない言葉は世界中にある。
「私に天使が舞い降りた!」の「もにょっとした気持ち」回で、主人公が感じた「もにょ」に対するもどかしい感じを、この本の読後、少し理解できた気がした。
ちなみに、「萌え」はこの本には収録されていない。